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2013年2月

2013年2月27日 (水)

壁飾り

ベルプル(bell-pull in the springtime)。
201302271_5 ca.130cmL×12cmW

昨年デンマークに行った時に、たしかオーデンセという町の中古品店(red crossの店)で、ちょっと古いクロスステッチのベルプルに出会いました。
201302272 刺しゅうがゴースダルの家に飾ってあるベルプルと同じ(たぶん)だったので ご縁を感じたのですが、それ以上に、この金具に魅かれて購入しました。天使らしきものがいます。201302273_3
ありきたりの金具かどうかわからなかったのですが、少し凝った金具はなかなか手に入らないと聞いていましたし、なにより値段が安かったので、持って帰ることにしました。ずっしりと重く、これを抱えて更に旅をするのかできるのか、と決断するのに躊躇しましたが、諦めなくてよかったと思っています。
これが初めての、そしておそらく最後(?)の買い物です。やっぱり自分で作ることこそ楽しみなので。

夏の間はこのまま飾ります。
50年以上前のものですが、とてもしっかりしています。表面は少し古びた雰囲気になっていますが、裏布は殆ど色褪せもありません。きっちりと仕立てられていて、自分の作ったものと比べると恥ずかしくなります。
小さな美術館のようだったゴースダルの家には、いろいろな古い刺しゅうが壁に飾ってありました。それが好きで、自分の部屋をそんなふうに飾ってみたいと思ってはいますが、これまで古い刺しゅうを買うなんてこともなかったので、まだ何もありません。これを機に少しずつ壁を飾っていこうかなと思います。


201302275_3春の間はこの刺しゅうにとりかえます。
出来てみると、刺しゅうに比して金具がどうも立派すぎて不釣り合いでした。もとのクロスステッチの刺しゅうも野草の図案の素朴なもので、決して豪華ではないのに、おかしくないのは何故なんでしょう。

刺しゅうはヘデボーの1つ「hvidsøm」(あるいは「maskesyning」)と同じ方法で作りました。チェーンステッチがいっぱいです。
穴をあまり開けなかったからか、白い壁の前では、遠目に見ると刺しゅうしてあることさえ殆どわからず、ただの真っ白い布がぶらさがっているように見えました。なので、やや濃い色を後ろに合わせてみましたが、せっかく白い刺しゅうの飾りなのに、これではもったいないようにも思います。
この刺しゅうは光に透かすと模様が浮かび上がってきれいなので、カーテンとかランプシェードとか、背後から光がはいるようなものにすべきでしたね。

図案は、デンマーク手工芸ギルドの60周年に出版された本で見た、デンマークの染色家Marie Gudme Lethの作品写真からちょこっと拝借しました。
201302274シルクスクリーンの布らしいです。彼女の名前をネット検索したら、この作品の写真もあわせて出てきたので、代表作の1つなのかもしれません。
Lethさんとギルドとの関係は不明ですが、ギルドのデザイナーだったということでもないような...?。ほとんど文盲の上に最近はとにかく読むのが面倒で、何が書いてあるのかわかりません。
実際どのくらいの大きさのものなのか写真ではわかりませんが、北欧テキスタイルは大体において大柄・大味で、ちょっと遠慮したくなるようなものが多く、これもそうなのかもしれません。
でも、本の中では小さく愛らしいこのデザインが記憶に残っていたので、今回、真似させてもらいました。色を使わなかったので、このかわいらしい雰囲気は真似できませんでしたが。色糸で同じ色に刺してみるのも楽しそうです。

Lethさんの布自体は、色合いのせいか、さほど日本っぽくないように感じますが、それでも、桜・桃と日本をイメージした図案なのかしら、と想像してしまいます。黄色の実は橘かと思ったら、桃のようです。どちらにしても、デンマークでは珍しい植物といえると思います。桜の花と実が同時につくことはないような気がしますが、どうでもいいことですね。
ふつうデンマークでいう桜の花は白色です。カナダの「赤毛のアン」という物語の中で、主人公のアンが大きな桜の木に「雪の女王」と名付けます。おそらくこの桜も白かったのでしょうが、桜といえば桜色と思っている私には、ちょっと理解しにくい部分でした。デンマークに行って、納得しました。
ゴースダルも、日本の桜は淡いピンク色のものが多いことや日本人が桜の花の下で宴会することなどを知っていました。デンマーク人にとって桜はなにも特別な木ではないらしく、私はピンク色の桜を「日本の桜」と呼んで敢えて区別していましたが、皆様どうでもよさそうでした。
201302276このデザインでは桜の花を日本の桜の色に染めているので、この刺しゅうを作るにあたり、日本人の素のままに、デンマーク刺しゅうらしくない日本っぽさが出たとしてもそれでいいかな、と思いながら図案を描き、刺しました。
同じ模様の繰り返しで、刺し方をほんの少しだけ変えながら作っています。

デンマークに限ったことではないですが、よその国のものなのに、なんとなく日本とのつながりを感じさせるものに時々出会います。その根っこに実は日本があるのか、あるいは、私が日本らしいと感じているものが世界共通、誰でも懐かしさを感じるものなのか--。あちらでは「あれ?」と思うことが度々あったことを思い出します。

いずれ、この金具を使って秋冬のベルプルとクリスマスのベルプルも作りたいと思っています。本当は、去年の秋に「まずはクリスマスのものを」と思っていたのですが、どんな刺しゅうにしようかと迷い、考えがまとまらないうちにクリスマスは過ぎてしまいました。今度は金具に負けないものを。


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